8月という事で、「8月危機説」について考えてみたいと思います。
8月といいますと、昔から相場が荒れる事が多い事で知られています。
遡りますと、1971年8月15日には、「ニクソン・ショック」がありました。
ニクソン・ショックとは、ドル紙幣と「金」との兌換停止を宣言したもので、これによって戦後のブレトンウッズ体制が終了しました。
それまで為替は1ドル360円の固定相場制だったのですが、ニクソン・ショック後の8月28日からは変動相場制に移行し、初日は「円」はドルに対して約5%、約18円上昇する展開となりました。
また、1998年8月17日には「ロシア財政危機」がありました。
ロシア国債がデフォルト(債務不履行)し、通貨ルーブルが暴落しました。
この影響で、ノーベル経済学賞受賞者が設立に関与した事で有名な大手ヘッジファンドLTCMが破綻する事態となりました。
2007年8月にはサブプライムショックが起こり、1週間でドル円が約10円、ユーロ円が約15円、ポンド円が約20円も下落する事態となりました。
2011年8月にはアメリカ国債の格下げがあり、ドル円は一時75円台に突入しました。
2015年8月にはチャイナショックがあり、世界同時株安となりました。
この時、ドル円は約9円の円高となりました。
このように、振り返ってみても、8月は相場が荒れる事が多いのが分かります。
現在、世界中に様々な危機が潜んでおり、いつどこで何が起こってもおかしくはないのですが、最近の流れを見ますと、やはりテロの危険性が懸念されます。
危機の際、相場においては、過去いずれも大きく円高に振れています。
リスク回避、避難通貨としての「円」が選好されているのです。
特にテロにおいては、「世界テロ指数」というものがありますが、日本は124カ国中で最下位、つまり「世界で最も安全」との評価で、相場においては円が買われる要因となっています。
ですので、今年どうなるかは分かりませんが、もし「8月危機説」が現実になれば、やはり円が買われる展開になるのではないかと思います。
逆に何もなければ、その他の要因で相場が動きます。
前述の、ノーベル経済学賞受賞者が設立に関与した事で有名な大手ヘッジファンドLTCMは、レバレッジのかけ過ぎが破綻の要因になったと言われています。
レバレッジ20~30倍、時にはそれ以上かけていたようで、これがロシア財政危機の影響で一気に逆回転し、破綻する事となりました。
したがって、私達においては、「もし危機が現実になれば円高になる、レバレッジをかけ過ぎない」という認識が重要です。
レバレッジに関しては、それこそ昔は何十倍というのが普通でしたが、リーマンショック以降現在は、ヘッジファンドでもせいぜい2~3倍という事実を知っておく必要があります。
元手100万円ならドル円で2~3万通貨というのが、レバレッジ2~3倍に相当します。
それ以上のリスクをとる場合は、ストップを厳格に設定する等、十分に注意する必要があります。
究極的には、「相場の未来は神のみぞ知る」わけでありますが、今回の話を参考に、「8月危機説」に注意して取り組んでいただけたらと思います。