月末のフロー

 

「月末のフロー」についてお話したいと思います。

 

フローとは「資金の流れ」の事ですが、今週でいよいよ8月も終わり、9月になりますので、今回は「月末のフロー」をテーマにしたいと思います。

 

 

 

まず、「仲値(なかね)」という言葉について知っておく必要があります。

 

仲値とは、銀行などの金融機関が顧客との外貨取引を行う際の基準レートのことです。

 

為替レートは刻一刻と動きますが、取引のたびに銀行に問い合わせていては大変なので、どこかのタイミングでその日の取引レートを決めてしまおうということでできた制度が仲値です。

 

この仲値が決まる時間が、日本時間の955分です。

 

仲値によってその日一日の取引レートが決まるため、仲値が決まる955分前後になると、通常よりも為替相場の大きな変動が起きやすくなります。

 

 

 

この事を踏まえた上で、今度は「ロンドン・フィキシング」の説明をします。

 

ロンドン・フィキシングは日本版仲値に対して、ワールドワイド版に相当します。

 

ロンドン時間の16時であり、夏時間は日本時間の深夜0時、冬時間は日本時間の深夜1時がロンドン・フィキシングです。

 

 

 

ロンドン・フィキシングは日本版仲値のワールドワイド版という事で重要です。

 

例えば、海外の債券や株式に投資する「投資信託A」と「投資信託B」があったとします。

 

海外の債券や株式という事であれば、当然ながら為替レートが損益に影響してきます。

 

そこで、もし「投資信託A」と「投資信託B」のどちらがより優れた運用成績なのかを知ろうと思ったら、為替レートに基準がなければなりません。

 

その基準として採用されるのが「ロンドン・フィキシング」になります。

 

 

 

日本版仲値同様、日本時間深夜0時(冬時間は深夜1時)のロンドン・フィキシングも売買が活発になり、その前後では通常よりも為替相場の大きな変動が起きやすくなります。

 

しかも、ワールドワイド版ですから、日本の仲値が決まる955分前後よりも、より大きな値動きとなるケースが多いのです。

 

 

 

さて、ここで冒頭の「月末のフロー」です。

 

通常のロンドン・フィキシングよりも、さらに大きな値動きが出やすいのが月末のロンドン・フィキシング、「月末のフロー(資金の流れ)」という事になります。

 

 

 

欧米の機関投資家は、月末にポートフォリオのリバランスを行う事が多いのです。

 

ポートフォリオとは、「株はこの銘柄とあの銘柄」「債権はこの債権とあの債権」といったような金融商品の組み合わせの事で、リバランスとはポジション調整の事です。

 

したがって、月末のロンドン・フィキシングでは、大口の売買が集中しやすく、その事が値段の大きな変動に繋がっていきます。

 

 

 

欧米の機関投資家と言いましたが、日本の機関投資家も「ロンドン・フィキシングのレートで買いたい、売りたい」という事で注文を出しています。

 

機関投資家にとっては、客観性や透明性といった事が重要で、世界の為替市場の中心であるロンドンのロンドン・フィキシングは世界中が注目するレートでもありますから、このレートが採用され、売買も活発になるのです。

 

 

 

月末のフローといえば、例えば、ある銀行は「ポンド、豪ドル、ノルウェークローネを買おうとしている」「ドル、円を売ろうとしている」等の情報が流れてくる事があります。

 

しかし、こういったフロー(資金の流れ)は、銀行によって全然違ったりします。

 

 

 

したがって、こういった情報に流されないように注意が必要で、私達においては、「とにかく大きな値動きがありそうだ」という認識で臨む必要があります。

 

 

 

という事で、「月末のフロー」についての説明をさせていただきましたが、為替相場の特徴を知る意味でも、ぜひ今月末のフロー(ロンドン・フィキシング)に注目してみてください。