日本国債暴落論

 

私は普段、個人コンサルも行っています。

 

そして最近、その個人コンサルのなかで「日本国債暴落論」についての話題になるケースが相次ぎました。

 

そういう事もありまして、今回は「日本国債暴落論」をテーマにしたいと思います。

 

 

 

まず、結論から言いますと、「日本国債暴落論」は完全なる「ガセネタ」だと思います。

 

 

 

確かに、この先人口が減少していく日本が衰退していく可能性は十分にあると思います。

 

政治三流という事も言われ続けていますし、そういう意味でも日本の将来が厳しくなりそうだと予想できます。

 

しかし、だからといっても「日本国債暴落論」は現実離れしており、与太話といっても過言ではないと思っています。

 

 

 

「日本国債暴落論」と言いますと、よく「国の借金」が国民1人当たり830万円などと報道されます。

 

しかし、私はこういった報道を見聞きする度に、「極めて悪質な報道だな」と感じます。

 

 

 

と言いますのも、まずハッキリさせねばならないのが、「公的債務1000兆円、GDPの200%」などと言う時に、国債の借り換え、短期債をすべて債務に入れてしまっている点です。

 

その金額なんと約500兆円です。

 

この事によって、日本の借金は大幅に嵩上げされているのですが、欧米と同様の計算方法を適用するならば、短期債は除外されます。

 

なぜなら、短期債というのはほぼ全てが自国の銀行からの借り入れなので、これを問題にしても仕方がないからです。

 

 

 

さらに、日本の所得収支は月間1兆円あり、日本が海外に保有している債権は世界最大で約360兆円あり、24年連続で世界一位となっています。

 

つまり、日本以外の国々が日本から借金をしている状態で、要は日本が金を貸しているという事なのです。

 

ですので、日本国債が危ないといったような報道は、金を貸している側の財政が危ないと言っているようなもので、それ自体がおかしな話なのです。

 

 

 

しかも、日本は外貨準備高も世界第2位です。

 

 

 

もし仮に日本が本当に危なっかしくて、例えば10年後に100%元本が返ってくるかわからないから、1%なんて低金利では買いたくない、と判断されれば国債の金利は上がります。

 

しかし、金利は上がるどころかマイナス金利です。

 

要するに、増税、公共料金の値上げや教育費の値上げ、老後の不安を抱えている日本人は益々貯蓄性向を深めるという事で、それは銀行預金残高の増加を意味し、貸し先も無い銀行は日本国債を益々買わざるを得なくなる、と市場が判断しているという事なのです。

 

日本経済が本当に破綻するのであれば、このマイナス金利の説明がつきません。

 

 

 

「ヘッジファンドが日本国債を売り崩す」などという話が出てくる事もありますが、そもそも、日本国債を空売りして持ち続けられる資金量のあるヘッジファンドはありません。

 

ヘッジファンドが日本国債売りを仕掛けるなら、はるかに容易につぶれそうな他の国々の国債を空売りしない理由は何なのでしょうか。

 

 

 

さらに、日本は小さな信用金庫さえ、1兆円の国債を運用しています。

 

しかも、そんな信用金庫が日本に何百とあります。

 

貸し先も無いという状況であれば、日本国債を買わざるを得ないわけで、必然的に国債市場は上がり続けるしかなくなります。

 

 

 

先日、ノーベル経済学賞受賞者のクルーグマン教授が来日し、消費税率の引き上げに対して「いまやるべきではない」との考えを示したと報じられていますが、その他にも「日本国債市場はとてつもなく強靭で、日本がギリシャのようになるというのなら、どうしたらそんなことになるのか、ぜひ教えていただきたい」と述べたそうです。

 

 

 

しかも、現在の日銀総裁である黒田氏も2002年にムーディーズ、S&P、フィッチ・レーティングスの格付け会社3社が日本国債の格付けを引き下げた際に、「日本は世界最大の貯蓄大国であり、国債はほとんどすべてが国内で低金利かつ安定的に消化されている。また、日本は世界最大の経常黒字国であり、外貨準備も世界最高である」と言って反論をしています。

 

 

 

その反論をした2002年当時と2016年の今とを比較して、日本の状況は大きく変わっていません。

 

 

 

こうやって見ていくと、やはり「日本国債暴落論」は現実離れしており、与太話といっても過言ではないと思います。

 

 

 

今回は「日本国債暴落論」をテーマにしましたが、報道というものは全てを鵜呑みにしていたら、歪んだ判断をしてしまいがちです。

 

 

 

「誤った判断で取り返しのつかない損失が生じてしまった」なんて事にならないように、みなさんもぜひ気をつけて普段から各種報道に接していただきたいと思います。