世界中に衝撃を与えている「パナマ文書」について触れたいと思います。
今回の「パナマ文書」は、ICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)により公開され、世界中が大騒ぎする事態となりました。
私がオススメする「タックスヘイヴン」(著者は橘玲氏)という小説があり、みなさんにもぜひ読んでいただきたいのですが、マネーの世界は本当に凄まじいです。
この小説「タックスヘイヴン」に出てきてもおかしくないような日本人も実際にいます。
今回この事件について個人的に調べていたのですが、ひとつ驚きがございました。
どうもICIJのサイトを見ていて、見覚えがあったのです。
ですが、この件についての詳細は、また機会があったら語りたいと思います。
さて、そんな中での今回の「パナマ文書」ですが、租税回避地を使った全世界の12人の現、前国家的リーダー、140人の政治家や官僚など、世界200の国と地域にまたがる21万4000口座の1150万件の取引データが含まれていました。
そして「パナマ文章」についての情報を集めれば集めるほど、それが「中国とロシアを狙った政治的な意図で流された」のだと分かります。
もちろん、中国やロシア以外にも、ありとあらゆる情報が含まれていますが、大きな目的は中国とロシアを狙ったものだと思います。
なにせ、前述のICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)は、米国のCIA(中央情報局)が創った団体とみられているからです。
ありとあらゆる情報の中には、犯罪行為に直接関係した取引が多数あるようです。
かつてロンドンで起きた金塊強奪事件の犯人グループの資金や盗品の管理を行う口座が見つかったり、イギリスの銀行マンが北朝鮮との武器取引を仲介していたり、といったような事も発覚しています。
今回は全体のほんの一部なのですが、一般の人々にその実態が暴露されたわけで、今後重大な政治問題になってくるでしょう。
実際に、世界中で調査が開始されています。
日本を含めて、世界中で格差拡大が言われて久しいですが、国民に税金を課す一方で、税金を課す側が大金を隠していたという事も分かり、その衝撃は決して無視できないものです。
要するに、今までベールに包まれていた高額資産家や世界の権力者のお金の世界に一気に注目が集まったというのが今回の「パナマ文書」の別の側面でもあります。
日本の報道機関では、朝日新聞社が4年前からICIJと提携関係にあり、日本で一番「パナマ文章」についての情報を持っています。
ですので、朝日新聞社はもっと情報を公開すべきだと思いますが、様々な事情で一部しか公開できないのでしょう。
さて、今回の「パナマ文書」事件を受けて、FXの世界ではズバリ今後の注目は「ポンド」です。
報道でもありましたが、ポンドの注目理由は、イギリスではキャメロン首相の亡き父の名前が「パナマ文書」に出てきたからです。
これまで、キャメロン首相はEU残留問題で、イギリスはEUに残留すべきと主張していました。
しかし、マスコミでは、亡き父が租税回避地に設立したオフショアファンドで首相自身が利益を得た事を認めたと報じられており、今後は同首相の求心力低下が確実だと思われるからです。
すでに、厳しい批判も広がっていると報じられています。
そうすると、EU残留ではなくEU離脱へと今後イギリス世論が傾く可能性があり、EU離脱へと世論が傾くならば、ポンドは売られる展開となります。
さらに、イギリス企業では、すでにEU離脱に備えた危機対策が広がっているとも報じられています。
実際、再来月にはEU残留か離脱かを決める住民投票を控えており、いざ離脱となれば、ポンドは確実に売られるだろうと予想されているのです。
今後も「パナマ文書」の解明や新たな情報公開とともに、さらなる衝撃が広がる展開が次々に起こるだろうと予想されます。
日本においても、何かとんでもない情報が出てくる可能性が十分にあると思います。
しばらく「パナマ文書」の展開には目が離せませんが、FX投資家としましては、ひとまずポンドに注目したいところです。
リスク管理を厳格にしなければならないのは当然ですが、ポンド売りのチャンスと思われます。